2010.06.08 Tuesday
幻冬舎「フリーター、家を買う。」有川浩
(Amazonより)
序盤の物凄い生々しさを、中盤〜終盤のファンタジーで綺麗に料理したエンターテイメント作品。
個人的にはエデュケイトメント作品といいたいけれど。
自分も超氷河期世代で第二新卒で中途採用の上6年勤めるもいまだ契約のまま…という身の上であれば、主人公の境遇やふてくされ具合も正直、苦ではなかった。
祖母の痴呆介護絡みで、病院が変わって薬が変わったら状態が激変するなどの経験もあり、作中、主人公の母と薬との問題もまた身に染みた。
そういう意味で言えば、あくまでエンタメとしてで良いので、高校生の頃に一度読んでおいてもらいたいし、大学生さんはもっと読んで欲しい。
序盤の主人公の境遇は、普通にありえることなのだから。
中盤以降の主人公の行動と展開はある意味いかにも有川浩なファンタジーで、しかしこれでこそ作品として楽しめるというもの。
その中で、ずっとリアルで居続ける、父親!
これが単純にオールオブファンタジーにならずにすんでいる要因かも。
最後の微・ラブにも“らしさ”が出ていて、これはファンには嬉しい。