2010.08.19 Thursday
ガガガ文庫「ラのべつまくなし 3」壱月龍一
(Amazonより抜粋)
アレっ!?終わりなの!?も、もったいない…!
でもまぁデビュー作も1冊で綺麗にまとまってたし、変にロングシリーズにするよりはまとまってていいのかなぁ…。地味で小粒、いや中粒ながらも激甘いベリーのような名作を手際よく送り出していただくほうが似合っている方なのかも??
口絵のツィッター(作中ではノベッター)の仕掛けもちょっとしたお楽しみで、こういう工夫は編集も作家も作品を気に入っているように思えて、見ると嬉しくなってしまう。
大きな物語的には思ったとおりの落ち込みダーク編で、悪いことが一気に主人公を襲う。
恋愛だけでなく、純文学とラノベの対立、引き抜きに関する出版社の対立など、同じ構造を多重にすることで主人公の落ち込みや悩みをどんな立場であっても読者が納得できてしまう構造になっているのも、より作中に自分を投影させてしまう要因だ。
個人的な経験として、お気に入りのライトノベル作家がデビュー作当時の担当編集から2作目で担当が替わり、作風そのものが変わってしまい、独自性は薄れるわ独特の魅力は無くなるわでガッカリし、そこから買うのも読むのも止めてしまった経験がある。
そういう意味では読者の予想以上に作家や関係者にダメージを与えるものだろうというのは予想ができるし、この苦悩する生々しさはきっと読者にも伝わるはずで…。
この虚構と現実の混じったあやふやさはこのシリーズ(作家さん)の最大の魅力だった。
私の仕事上、冒頭のてりぶりミュージカルの演出方法、気になるなぁ…でもお金かかりそう!
なんだかんだで王道展開でハッピーエンド。
最後まで好みのままの作品で大満足。